善光寺参り絵解き図制作プロジェクト代表
長野郷土史研究会 副会長
小林玲子
かつては絵解きがされたであろう絵伝が、風に揺れながら掛けられたままになっている有様や、後継者がなく途絶えていく姿を目の当たりにしました。
しかし絵伝には壮大な物語や教えが描かれています。それを絵解きすることによって、その絵伝の果たす役割があることを知りました。そこで1993年に善光寺の起こりを伝える「善光寺如来絵伝」の絵解きを復興しました。
続いて「釈迦涅槃図」「当麻曼陀羅」「道元禅師絵伝」「熊野観心十界曼荼羅」など多数の絵解きを行ってきました。いずれも現存している絵伝に合わせて、夫と二人で台本を制作しました。
そして県内はもとより全国各地に招かれて絵解きを行い、20年が経ちました。その間、絵解きのDVDを2回に渡って4本出版して、絵解きの普及に務めてきました。しかし絵解きへの理解や関心はまだまだ深まっていないと感じています。また若い方々への広まりや、後継者の育成も進んでいないのが現状です。
長野は中世に善光寺聖によって絵解きが行われ、全国に信仰が広まった善光寺のお膝元です。また今でも周辺の寺院では絵解きが行われており、絵解きの文化が残っている全国的にも貴重な地域です。
その長野で、このたびOZ / 尾頭 / 山口佳祐氏に依頼をして、新たな善光寺参り絵解き図を作成しようと考えました。現存する絵伝を絵解きするのではなく、絵解きをしたい内容を絵伝に盛り込もうという試みです。
このプロジェクによって、地元の皆さまには絵解きが長野の大切な文化であることを再確認していただきたいと思います。またかつて善光寺聖が善光寺の信仰を広めるために絵解きを行ったように、全国に出向いて絵解きを行い、長野をアピールしていきます。さらに絵解きに取り組む若い方々の育成にも力を注ぎながら、絵解きの文化を後世に引き継いでいく決意です。